秀808の平凡日誌

第窮話 大会

 古都ブルンネンシュティグ

 王興都市ビガプールで起こった襲撃事件を、ランディエフと報告に行ったファントム。

 現ブルンネンシュティグ王シュバイツは、そのモンスター討伐のメンバーを選抜するための大会を提案した。

 古都ブルンネンシュティグ守護兵団に所属しているヴァン、ロレッタ、アシャー、レヴァルの4人は無条件で討伐メンバーに選ばれたのだが、

 所属していないファントムとランディエフはその大会に出場しなければならなくなった。


「すまぬが、エントリーしたいのだが。」

 人混みをかき分け、ようやくエントリー会場へとたどり着き、会員に何処にエントリーするのかを言う。

 光を遮断した、真っ黒の壁、20個ほどの小さな穴から声が聞こえる。

 なにやら、カリカリとペンでメモを取っているようだ、音だけが虚しく聞こえてくる。

「では、お名前をお教え下さい。」

「私はファントム・クラウン、こちらはランディエフ・リビーラだ」

「エントリー、完了しました、では早速Aの会場での試合が始まりますので、お行き下さい。」


 穴の下がパカッっと開き、ハイ、エンド、コロシアムの地図を渡される。
 
 バサッと大きく地図を開く、第一会場Aを探す、開始時間まであと約10分。

             ルール説明

 開始の合図は、目の前の扉が開いた瞬間からだ。

 とくに反則と言うのはないが、一対一の勝負に二人から、三人一気に参加すると負け。

 判定は無く、参加したコンビが戦闘不能になるか、負けを認めるかまでだ。

 なお、その試合が終了する直後には、乱入戦もOKだ。

      準備は良いか?バッドボーイズ共!!

 陽気なアナウンスが流れる、それにこ呼応するように観客が歓声を上げる。

 ここに居る観客は賭け事が出来る、競馬のような物だ。

「実況はこの俺様、プラグイ・ネットがお贈りするぜ!!!!トイレは今の内に行っとけよ、このギャンブラー共よ!!!」

 緊張感が無くなるような声だ、観客を喜ばすだけでは無く、選手をも安らがせる、上手い実況者だ。

「………」

 ランディエフが、無言で腕を組みながら目をつぶっている。

「どうした?気になることでもあるのか?」

 その様子に気付いたファントムが言葉をかける。

「…いや、誰からか視線を浴びているような気がしてな…」

「…この人気だ、視線などいくらでも集まるだろう。」

「…そう、だな…」

 そう言った瞬間、実況が激しく参加者の名前を口にする。

「それでは第一回戦!!右コーナーはガーゴイル&サティロスのモンスターコンビ!左コーナーはファントム&ランディエフの人間コンビだ!それでは、レディー…ゴゥ!!」

 開戦の幕は、切って落された。


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